部下に性加害、自殺に追い込んだ69歳「元弁護士」1億2800万円の賠償を命じられる

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朝日新聞デジタルは4月21日、「女性弁護士自殺、元弁護士会長による性被害認定 1億円超の賠償命令」との記事を配信しました。
大分県の弁護士だった女性が、県弁護士会の元会長による性被害を受けて自殺。
民事訴訟の結果、1億2800万円の賠償を大分地裁に命じられた。

元弁護士会長(清源善二郎氏)は、弁護士家系の“地元の名士”

自殺した女性弁護士は2013年に司法試験に合格。
翌14年に大分県中津市にある「清源(きよもと)法律事務所」に入所。
18年8月、遺書を残して自宅アパートで自殺、32歳でした。
当時、事務所の代表は清源善二郎(きよもと ぜんじろう)氏(69)が務めています。

2018年6月のHPより 清源善二郎(きよもと ぜんじろう)氏プロフィール

清源氏は1954年生まれ。76年に中央大学を卒業し、82年に司法試験に合格。清源法律事務所の公式サイトを見ると、「清源法律事務所の歩み」という記述があります。

事務所は1944年、《先々代の清源敏孝弁護士》が創業、85年、《先代の清源善二郎弁護士が参画》とあり、息子である清源氏が父の後を継いだことが分かります。
さらに2011年、《清源万里子弁護士(現代表者社員弁護士)が参画》との記述。
清源万里子弁護士は《故・清源敏孝弁護士の孫》。
つまり清源法律事務所は、祖父、父、娘の3代が経営してきた事務所です。

話を民事訴訟に戻すと、女性弁護士は2018年3月、遺書を残して自宅アパートで自殺しました。
32歳でした。自殺した女性弁護士の室内は、土足で歩いたかのような汚れ布団には嘔吐の跡、ゴキブリの死骸といった精神的に非常に追い詰められた状態だったそうです。
また新しい人を連れてこないと事務所は退所させないと言われていたそうです。典型的なブラック企業ですね。

「重要なポイントは、清源善二郎氏が《元弁護士》と報じられている点です。善二郎氏は1993年4月から94年3月まで大分県弁護士会の副会長、2009年4月から10年3月まで会長を務めました。ところが、女性弁護士の自殺が明らかになると、自ら弁護士登録を取り消したのです。その一方で、遺族が提訴した民事訴訟では徹底抗戦に打って出ました

民事訴訟では徹底抗戦、「恋愛関係にあった」と反論

遺族は「清源氏から繰り返し性被害を受けたことが自殺の原因」と主張し、清源氏と清源法律事務所に対して損害賠償を求めた。これに清源氏側は「女性弁護士とは恋愛関係にあった」と反論。
女性が亡くなった年齢が32、清原氏は当時64歳、年齢差32(丁度ダブルスコア)、一般的に32歳も年上の男性に恋愛感情を抱く女性は少ないのではないでしょうか。
また潔白であれば弁護士を廃業(弁護士登録を取り消す)必要もないはずです。

判決は、女性の友人らの証言や遺書の内容などを踏まえ、「元弁護士が自らの性的な欲求を満たすために女性との関係に及んだと評価されても致し方ない。恋愛関係に基づく性的関係であったと認める余地などない」と被告側の主張を否定。
「(女性は)上司から性的被害を受け、退所を含め他に方途を見いだせない状況下で、自死を選択せざるを得なかった」と、性被害と自殺の因果関係を認定し、清源氏と同事務所に1億2800万円の支払いを命じた。

判決を受け女性の遺族はコメントを発表。

娘は私たち家族の希望でした。ただ普通に働くことができたなら、娘もこれから地元や社会に貢献できる弁護士になることができたはずです。このような娘の人生を踏みにじった被告らには、きょうの判決を受け止め、娘に心から謝ってもらいたいと思います

大分弁護士会の対応

大分県弁護士会は善二郎氏の部下だった女性弁護士の自殺を受け、
「法人会員の懲戒処分について」との文書を発表した。

清原善二郎氏が2015年3月ころから2018年8月までの間
《勤務していた者に対し、その職務上の立場を利用し、同人の意に反して複数回セクシャルハラスメントを行った》と指摘。

先に触れたように、清原善二郎氏は女性弁護士が18年に自殺すると、弁護士を引退しています。
このため弁護士会は清原善二郎氏に対して処分を下すことができず、
清源法律事務所に業務停止6カ月の懲戒処分を下しました

処分の理由として、清源法律事務所はセクハラの予防を怠り、
善二郎氏のセクハラ行為を看過したと指摘、
《弁護士法人として廉潔を欠き品位を失うべき非行》と批判しました。

清源法律事務所及び被告の反応

ところが、清源法律事務所は処分を不服として日本弁護士連合会(日弁連)に審査請求を行っています。これが棄却されると、今度は東京高裁に懲戒処分の取消を求めました。
さらに、1億2800万円の支払いを命じた大分地裁の判決も不服とし、4月26日に福岡高裁に控訴しました。

被告側の代理人弁護士は控訴について「女性の意に反する性行為があったというのは事実誤認。
自殺との因果関係の認定もずさんだ」とコメント、上述の通り現在控訴審中のため、今後の裁判の行方も追いたいです。

2審も1億2800万円余の支払い命じられる、上告はしない方針

2024年1月25日、2審の福岡高等裁判所は、性被害が自殺につながったと認め、1審に続き1億2800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました
福岡高等裁判所の高瀬順久裁判長は「職務上の優位性や、要求を断ることが困難な状況に乗じて、女性の意に反して性的行為に及んだことが自殺に至った」として、性被害と自殺との関係を認めました
また、「性的被害を受けた人の心情を正しく解釈していないことが明らかだ」と指摘し、1審に続き、1億2800万円余りの支払いを命じる判決を言い渡しました。
決を受けて女性の両親は「2審での元弁護士らの主張は、責任から逃れようとする内容でした。いつか、娘の人生を奪ったことを悔いて深く反省してほしい。そして、娘に謝罪してほしい」とコメント。

清源善二郎 元弁護士は代理人を通じ「主張が通らなかったのは残念ですが、1審に続いて2審も同じ結論であったので、判決を厳粛に受け止め上告はしない方針です」とコメントした。

リンク・ソース元・関連報道他

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