細田博之衆議院議長、セクハラ疑惑の行方

自民党

2022年5月、週刊文春が3週にわたり細田博之衆議院議長のセクハラ疑惑を報じました

女性記者を深夜に誘う

「今から家に来ないか」、文春オンラインによると第78代衆議院議長の細田博之(78歳)が深夜に女性記者をこう誘ったと報じました。

安倍晋三政権下で当時自民党最大派閥である清和会研究会を預かり、派閥の領袖として党内に絶大な発言力を誇った細田氏。2021年に議長に就任、三権の長に登りつめた「大物政治家」です。

相手は若い女性記者

清和研は政権担当派閥、当時、安倍政権の動静を探ろうと細田会長の周りには記者が群がっていた。
ある記者によると、若い女性記者をあてれば細田さんの口が軽くなるだろうという思惑は、新聞社側にも正直あったという。

会合後、ほろ酔いの細田さんが、何も答えないまま車で走り去った直後、お気に入りの女性記者の携帯に電話をかけてきて、「オフレコなら話してあげるが来るかい?」といったという話を聞いたという。
情報が欲しい女性記者はすぐに指定先に向かったそうですが、収穫はゼロで、結局、酒の相手をさせられただけだったと怒っていたそう。

その他「彼氏いるの」と尋ねたり、細田氏が女性記者に「警察が立っているし、大丈夫だから、うちに来て」と求めたなどとする複数の発言を報じています。

男性政治家に「女性記者をあてる」という新聞社の感覚も異様ですが、
こういった噂が以前よりあったことは事実で、細田氏はこのような行為を繰り返し行っているそう。
またこの報道後、細田氏が虚偽の説明や記者に口止めをしたといった内容も報じられています。

細田博之氏は「事実無根」と反論

細田氏は、疑惑報道について「全く事実と違う」と反論し、改めて抗議する文書を発表しました。
「すでに事実無根として強く抗議したところだが、同趣旨の記事が掲載されていることに強く抗議する」また「番記者やマスコミを男女で区別したことはない」とも反論。

しかし野党や疑惑を報じた週刊文春から説明を求められたが一切回答をせず、
国会の場でも詳しい説明を避け続けています。

細田博之氏はその後週刊文春を提訴

細田博之衆院議長は2022年6月17日、女性記者へのセクハラ疑惑を報じた週刊文春の一連の記事は事実無根で名誉毀損に当たるとして、週刊文春発行元の文芸春秋に対し2,200万円の損害賠償や謝罪広告の掲載などを求め提訴しました。

週刊文春編集部は「国権の最高機関のトップである議長が公の場で一度も説明しないまま提訴に至ったのは残念。記事にはじゅうぶん自信を持っており、裁判でセクハラの事実を明らかにしていく」とコメントしています。

細田氏側は「事実無根だと抗議したが、その後も悪質な印象操作や事実の歪曲(わいきょく)がある記事の掲載が繰り返された。社会的評価を著しく低下させた」と主張しています。

細田氏のセクハラ疑惑を巡っては、立憲民主党が細田氏の不信任決議案を提出。
2022年6月9日の衆院本会議で自民党などの反対多数で否決されています。

セクハラ疑惑裁判は継続中

自民党の細田博之衆院議長が文藝春秋を訴えた民事訴訟の第3回口頭弁論が2023年8月4日、東京地裁でありました。原告の細田氏側が切り出したのは、セクハラを裏付ける客観証拠の存在について。

週刊文春の第2弾記事には「これは決して事実無根の情報ではない。(セクハラを受けた)記者が細田氏の言動を記録した電子データに残されている」「細田氏の言動について、小紙に『セクハラ記録』を提供した者がいる」と書かれており、第3弾記事にも「かねてからセクハラ被害を受けてきた女性記者の1人は、こうした会話をデジタル記録の形で残している」という記述があったため。

細田氏側は「こういった客観証拠があるということを前提とした記事になっていると理解しているので、その客観証拠に関して、今回の(文春側が提出した)準備書面では存在についてご主張もありませんし、証拠の提出もないので、それについてどうされるのか? ということを聞きたい」と文春側に尋ねた。

文春の代理人弁護士は、準備書面の「デスクは××(取材対象者)から電子データメモを提供してもらった」(第2弾記事について)、「(同様の)デスクが、電子データメモを提供してくれた記者に取材した」(第3弾記事について)という記述を挙げ、「合計2つの電子データメモを、こちらは取材において入手している」と明かした。そして「これを提出できるかどうかは、取材源の問題などもありますので、引き続き被告人(文春)をみて検討するということになります」と説明。

また、記事中に「某メディアの女性記者」「自民党の女性職員」などの肩書きで登場する証言者の女性が、少なくとも5人いることも明かされました。
文春側は今後、立証の段階で取材記者たちの証人尋問を予定しているそうです。